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9月9日は「POP(ピーオーピー)の日」です

令和7年(2025年)9月8日

一般社団法人日本POPサミット協会

会長 安達 昌人

 9月9日は「POPの日」(一般社団法人・日本POPサミット協会提唱)です。POP広告に関わる人にとって、記念すべき日と言えます。

 ちなみに、ユニークな記念日として話題の「ニャンニャンの猫の日(2月22日)」や「目の愛護デー(10月10日)」などのように、数字の語呂合わせや形状を元にしたものは多いですが、調べてみると、英文字を活かしたものは皆無で、きわめてアイデアに富んだ特別の記念日です。「9」を反転して「P」と見るのは、面白い着想です。

 では「POPの日」は誰が発案者かと言うと、日本POPサミット協会の設立者であり、顧問であった故今津次朗先生です。 かつて、「手造りPOP広告グループ」勉強会の席上で、今津先生が「9月9日はPOPの日です」と宣言し、その提唱に一同が感心したものです。

 付記すれば、アメリカの広告代理店「POPAI(POP広告協会)」と関連を持っていたコンサルタントの川上嘉則氏が「POPをポップと呼ぶのは誤りで、米国では「ポップ」はポピュラー音楽の略語、ピーオーピーと発音するのが正しい」と提案して、以降、皆もそれにならうようにしました。

(日本POPサミット協会も、POPをピーオーピーと発音します。)

 

 さて、「POPAI」が創り出したメーカー主体のPOP広告(以下、「広告」の語を略)が日本に紹介されるや、日本の家電、薬品、化粧品、酒造メーカーなどの企業が、マスコミ広告と関連して業者に作成させたPOP(シーリング、バナー、ポスター、シェルフテープ、商品展示台など)などの販促助成物を、系列店の店舗に大量に送りつけ、まるでお祭りのように飾りました(今は、すっかり姿を消しました)。

 しかし、POPという目新しい用語と効果が全国に普及し、これまでにプライスカードやポスターを手描きしてきた器用な日本の商業者は、たちまち自分たちで描いて自店に貼り出しました。マジックインキ(株式会社内田洋行)の発売も、手描きに拍車を掛けたと思います。

 さらに、スーパーマーケット、ドラッグストア、家電量販店などの大型店が出現し、メーカーの助成品とは異なる自店独自のPOPを作成して、掲示しました。

 ただ、当時のバーゲン・ディスカウントの風潮から、POPは特売のツールのように見なされ、小売店もそれに追随して特価を訴えました。今も大型青果店の値札などに、価格強調の名残りを見ることが出来ます。

 

 しかし、そのこうした商業者サイドのPOPは、時代の変遷とともに、消費者志向の高まりによって、「売る」ツールから「買う」ツールへと、購買者サイドの媒体に進展して来たことは周知のとおりです。

 すなわち、ユーザーの目線で、利用する人のベネフィットや、利用シーンを想定して商品の魅力をアピールする媒体へと変化してきました。顧客の立場として、商品の基礎的な知識は元より、ハイライフに活かせる有用で新鮮な生活情報を得ることが出来ます。

 その情報伝達の役割を果たす大切な要素は、キャッチコピーも含めた広告文案です。見る人の心に刺さる文案の作成は、今後も大きな研究課題と言えます。

 

 ところで、Microsoftの「Windows95」が発売された1995年頃から、パソコンが一般に定着し、パソコンPOPが売り場を席捲するようになりました。誰でも容易に作れて、先端を行く目新しい売り場のツールに映りました。今もパソコンPOPが、売り場に掲示されているPOPの大半を占めています。

 とは言え、2001年に、一書店が描いた読書感想文タイプのショーカードによって、一冊の本がミリオンセラーとなりました。本の売れ行きが落ち込んでいた時代に、この事件が話題となり、多くの全国の書店に手描きPOPが復活します。この成果のニュースは広く流通業界に知れ渡り、手描きPOPが売り場の販売促進の重要なツールとして再認識されることになります。第2次手描きブームと言ってよいでしょう。

 また、パソコンPOPが主流の期間が長かったことから、手描きを新しい媒体として捉えている若い層も少なくないようです。

 今や、ブラックボードなどの普及で、手で描くことも日常的になってきていて、手描きPOPの比率は予想外に高いのではないか、と推定します。

 

 片や、パソコンPOPやデジタルサイネージ(電子看板)などのデジタル系POPもいちじるしく進展しています。

 今は、スマーフォンと連携で、便利なデザインソフト(Canva、VLLOなど)もダウンロードして、チラシから動画のPOPも容易に作れます。

 POPにQRコードを表示し、クーポン獲得や詳細情報にアクセス可能。店頭での「即アクション」につながる仕組みとしても活用されています。

 また、カメラが通行人の年齢・性別を判定し、それに合わせた広告を瞬時に表示。例えば、若年層にはトレンド商品、シニア層には健康関連商品を表示するなど、AIによるパーソナライズ表示も注目されています。

 飲食店のタッチパネルも、デジタルPOPの一種ですが、最近は、手をかざすだけでメニューが切り替わるなど、非接触で操作可能のタイプも出現し、感染症対策や衛生面でも安心される技術といえます。

 この分野は、今後いっそうの進展が見られるでしょう。

 

 では、手描きPOPとパソコンPOPの、それぞれの特性をまとめてみると、

手描きPOPのメリットは、

・親しみやすく・温かい情感=人の手による文字やイラストは、感情や個性がにじみ出て、顧客の共感を呼びやすい

・自社の個性がアピールできる=スタッフのコメントや感想で、商品のこだわりが良く伝わり、信頼感につながる

・手軽に作成=紙とマーカー類があれば、すぐに作成できる。印刷コストもかからない

 デメリットとしては、

・作成枚数が限られる=多店舗展開では統一感が難しい

・見た目を整えるにはスキルが必要=表現の仕方が劣ると逆効果になることも。

 

 一方、パソコンPOPのメリットとしては、

・視認性・整ったスタイル=フォントや画像を効果良く使えば、誰にも見やすく、きれいに仕上がる

・修正・複製がスムーズ=価格変更やキャンペーン対応が容易に出来る

・数多く作成できる=多店舗で統一感を持たせることが出来る

デメリットとしては、

・やや親愛感に欠ける=機械的・画一的・単調な印象になりがち

・コスト面の高さ=枚数が多ければ、印刷費がかさむ 

 などなどが、挙げられます。

 

 ここで、POPの購買行動への影響を見てみると、従来の調査データでは、手描きPOPの方が購買のきっかけになった割合が高いという結果が出ています。⦅出典:早稲田大学 WBS研究センター「POP広告と店頭プロモーション施策の効果についての考察」他》

 手描きPOPは「販売者の気持ちが伝わる」「パソコンPOPとは異なるオリジナル性」「親近感が沸く」といった理由で、顧客の心を動かしやすい傾向があるためでしょう。

POP広告の種類 購入につながった割合
手描きPOP 56.50%
 パソコンPOP 26.20%

 では、こうしたPOPを店頭でどう活用するかは、その店舗の状況や方針にあると言えます。また、目的や売場の雰囲気によって、使い分けることになります。

 定番商品など、日常的な商品で、統一感を出す時には、効率の良いパソコンPOPで良いでしょう。

 しかし、特にお奨めの品、オリジナル品、新商品など、また自店の提案情報を訴えたいときには、手描きPOPが効果を発揮します。手描きPOPは「紙に描かれた主張」「紙に描かれた会話」として、その店自体をアピールするものになります。

 ただし、訴える内容を重視して、表現を二の次にしている例も多く見られます。

 しかしPOP広告は、メッセージ情報の重要性とともに、購買者にいかに効果良く見てもらい読んでもらうかの視覚性も同様に肝心です。顧客の関心を呼び、心に響かせ、購買に結び付けていくためには、その両輪の働きが大切であるかは言うまでもないことでしょう。

 さらにPOPは、流通業界だけに限らず、介護施設から医療施設、交通機関、地域物産の販売所、モノ造りの現場、イベント会場、公共機関に至るまで、地域社会の各所で、いわゆる「パブリックPOP」としての多様な活躍が期待されます。つまり、POPはさまざまな販売促進活動を創出し展開する、きわめて広いキャパシティーを持つ媒体です。

 

 といったわけで、「POPの日」に当たり、その大きな効果と役割を、今一度しっかりと確認していきたいと望む次第です。

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今津次朗先生の七福神イラストが、ウイスキーボトルになりました!

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