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健康でありたい、そして仕事に励みたい

2026年 2月 07日 土

令和8年(2026年)2月7日

一般社団法人日本POPサミット協会

会長 安達 昌人

 寒暖の差の極端な日々ですが、季節は早春、皆様には元気にお過ごしのことと思います。

 さて、健康でいつまでも頑張って生きることは、誰もが望むところです。

 皆様も、運動からヨガ、サプリメントまで、何らかの形で健康促進を図っていられることでしょう。

 ただし、本当の健康とは、フィジカル(身体的)ばかりでなく、メンタル(精神的)にあっても、活発であることが大切です。

 

 ところで、佐藤愛子という作家をご存じですか? 現在、102歳の高齢で、10年前の2016年に出版された「九十歳。何がめでたい」が、売上げ100万冊を超えるミリオンセラーになって話題を呼びました。

 これが草笛光子主演で映画化され、2024年6月に公開されています。

 私は、友人がテレビ(WOWOW)で録画したDVDを貰って観ましたが、なかなか痛快で楽しい映画でした。あらすじは、90歳を過ぎて断筆宣言をし、欝々とした日々を過ごす彼女のもとに、中年の冴えない編集者(唐沢寿明)がエッセイの執筆依頼を持ち込んでくる。

 その結果、生きづらい世の中への怒りを、歯に衣着せぬ物言いで綴ったエッセイ集が大反響を呼び、再び90歳にして活力を取り戻し、人生が大きく変わると言ったストーリーです。

 

 佐藤愛子という大阪市生まれの作家は、小説家の佐藤紅緑の娘で、詩人のサトウハチローは異母兄にあたります。

 女流作家としてデビューし、順調な執筆生活を送りますが、夫と一緒に起こした新事業が、一時は軌道に乗ったものの、旦那の常識外れな金銭感覚が原因で倒産。

 偽装離婚して、彼女が借金をすべて肩代わりし、小説・随筆を書きまくり、テレビのワイドショーにまで出演する八面六臂の大奮闘で、借金をすべて返済したとの下馬評でした。

 その経過を元にした小説「戦いすんで日が暮れて」で、1969年に直木賞を受けています。

 また、当時の彼女は「憤怒の作家」と言われ、社会と男性を痛烈に批判するエッセイから「男性評論家」とも称されていました。

 実はこの佐藤愛子に、かつて私がインタビューしたことがあります。

 筆記具メーカー「Pilot」が、文具店向けに送る「ハウスオーガン(PR誌)」の紙面で、今から56年前の1970年発行。

 その巻頭の特集記事(4ページ)が「入りよい店、入りにくい店」で、出席者は作家の佐藤愛子氏。そして、インタビューアーが私なのです。

 経営指導・広告デザインの事務所などを経て、独立したばかりのヒヨッコの自分が、電通の一つのプロダクションから依頼を受けて、インタビューアーを任されたいきさつは、今は覚えていません。

 

 片や主賓の愛子氏は、まさに文壇の寵児の女性作家。当時47歳。

 当日のインタビュー記事を読み返してみると、店構え、陳列演出、品揃え、好ましい雰囲気や個性ある店作りなどを設問としていますが、話題の中心は、接客と販売員教育となって行くようです。

 若い販売員に対する容赦ない悪口雑言など、愛子氏の面目躍如たる話しぶりで、編集の方も、まとめられるのにさぞ苦労されたことでしょう。

 ただこの日は、大柄で美貌の愛子氏は少し疲れ気味の様子で、多分、原稿の催促に追われ、この会場から一刻も早く立ち去って、執筆作業に戻りたいという焦燥が感じられました。

 しかし、佐藤愛子氏は辛辣さと同時に、歯切れのよい独特のユーモラスな文体で、田舎の母親などは大ファン。早速、このPR誌を送りました。


 その後は、すっかり忘れていましたが、百歳を越えられたことをニュースで知り、調べてみると、この数十年間に、数多くの本(主にエッセイ集)を出版し、「菊池寛賞」など多くの賞を受賞されています。Amazonで見ると、その後、「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」など相変わらず勇ましいタイトルの本が並んでいます。

 昨年3月に発刊された「百一歳。終着駅のその先へ」(中央公論新社)を、図書館で借りて読みました。百歳を越えれば、さすがに舌鋒はいささか温和になったのではないか、という読後感でした。しかし、赤色を活かした装幀が、元気をアピールしているようです。

 瀧靖之氏(東北大学加齢医学研究所教授)と言う人のベストセラーの著書「生涯健康脳」によれば、精神とは脳の働き、つまり「脳力」を鍛錬に関連していて、脳に常に刺激を与えることで神経細胞同士をつなぐ情報伝達回路のネットワークを強化し、新たなネットワークを広げすることが可能である、ということです。

 さらに、記憶をつかさどる「海馬」では、年齢にかかわらず神経細胞が新たに作られる「神経新生」が起きることで、脳はいくつになっても、成長するとのことです。

 脳を若く保つ生活習慣として、「運動、食事、睡眠、会話・コミュニケーション、主観的幸福感、趣味・好奇心」の6つを挙げていますが、けだし当然のことでしょう。

 

 愛子氏の例を見ると、身体も健康なのでしょうが、やはり精神面の活力でしょう。生涯、執筆を続ける日常にあるようです。

 身体の健康を保ちながら、周囲とのつながりを大切にし、真摯に仕事(あるいは趣味)に取り組んで行く、これが当然の健康の秘訣と言えるようです。

「希望」を持って堅実に進み、実りある成果を!

2026年 1月 05日 月

令和8年(2026年)1月5日

一般社団法人 日本POPサミット協会 

会長 安達昌人

 明けましておめでとうございます。

 会員の皆様には、健やかに新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。

 一般社団法人 日本POPサミット協会は、昨年8月1日をもって第15期を迎えました。

 当協会も昨年は、会報誌《春号、夏号、秋号》の発行、POP広告コンテスト、各界へのセミナー講師派遣、第24回「サミット(全国大会)」の実施、等々の活動で、着実に事業の成果を見ることが出来ました。

 特に「サミット」では、前期の主要な課題であり、それまで2回(オンライン)実施してきたディスプレイセミナー(外部講師・福田ひろひで氏)を、リアル店舗(茶店)で実践することが出来て、実りある年となりました。

 

 片や、周囲の情勢を見れば、戦争や内乱、大国の政略的駆け引きによる経済的混乱など不穏な状況にあり、国内ではその影響もある物価の高騰、自然環境の変動による農・海産物の不作、自然災害の頻発など、人々の日常生活に多大な影響を及ぼしている厳しい状況です。

 

 といって、このまま見過ごしているのでは進展はなく、停滞状況は変革されないでしょう。

 「エスポワール」という言葉があります。フランス語で「希望、未来への期待」の意で、英語では「ホープ」です。人間の行動に関わる重要な心理です。

 

 今年は、能登半島地震の発生から丸2年となりますが、先頃、LINEヤフーのネット配信プロジェクト「サストモ」が、「希望」をもって復活を果たしているK酒造(石川県能登町)の例を紹介していました。

 記事によれば、創業150年の歴史を持つ同社は、最大震度7を越える揺れにより、蔵の6棟のうち4棟の倒壊や、仕込み中の醪(もろみ)の大量の流出、保管していた商品も破損、海沿いなので津波による汚泥の流入など、壊滅的な被害に見舞われました。

 社長のK氏は、地震発生の翌日に蔵の状況を見に行きますが、被害状況だけでなく「何が残ったか」を把握し、どうすれば酒造りを再開できるかというイメージをつかんでくることでした。

 そうして、絶望的な状況の中で、K氏が翌日の日記に記したのは、嘆きではなく「感謝」の言葉だったとのこと。「残ってくれた建物たちと、そしてそれを残してくれた先祖様に深く感謝」と言うことです。

 その後数日間は、年間を通して酒造りをしている酒蔵や、東北大震災を経験した酒蔵にヒヤリングします。「夏場の酒造り(寒い時期が一般的)」に踏み出す可能性も考えて。また大震災を経験した酒造からは、何よりも「酒造りが第一だ」と励まされたと言います。

 間もなく、県内外から酒蔵の人達が駆け付けてくれ、タンクに残されていた発酵中の醪を汲み上げ、搬出された醪は自社製品を他社で製造する委託醸造という形で商品化し「Saved by(セーブドバイ)シリーズ」という名称で販売しています。

 3月11日には、地域の断水が解消され、4月1日に自社で酒造りが再開できたのは、3カ月という驚異的なスピードとされています。

 決して諦めずに、「お前が復興の旗を振れ、先に走るのが役目だろう」という同業者仲間の応援と、逆境を機に「これまでのやり方をゼロから見直して『理想の状態』で業務を再開するチャンス」として捉え、「希望」を持って活動したと言います。

 今後は、酒造りを続けて行くことの方針として「酒造りの環境だけでなく、能登の環境ごと守って行けるような会社にならなければ」と強く考えたとのこと。それは、社員の皆のためにも。こうして見事、一応の復興を果たしました。

 そして、次の未来に向けて描いているのは、能登の復興ためにも、「地域に事業を増やすこと」という方策です。そのために地域で事業を運営できる人を増やす勉強会やシステムを構想しているようです。

 実際に、K酒造で社員数も増えているのは、社長の熱い思いが実現されているからでしょう。2025年の経済産業省「健康経営優良法人2025 中小規模法人部門」に認定されています。

 

 この記事に学ぶことは、逆境にあっても、エスポワール(希望)の精神を失わずに沈着に活動していることです。自分も、この酒造の地産地消の清酒「竹葉(ちくは)」と言う清酒を入手して味わい、若い社長の意欲をお裾分けしてもらおうと希望しています。

 

 と言った次第で、私たちもエスポワール(希望・未来への期待)を念頭に、新年を迎えたいと願います。常に「停滞から脱却し、堅実に進展する」ことが大切だと言えます。

 その一つとして、昨年はディスプレイが大きな課題でしたが、今年はキャッチコピーなどの宣伝文案への新たな取り組みが課題です。そこにChatGPTなどの生成AIを活用していきます。

 デジタルに対応するヒューマンな感覚のアナログの感性を大切にする両輪を踏まえて、活動していきたいと望みます。

 

 今年は「午年」ですが、馬は力強く駆け抜ける動物であることから、「前進」「勝負」「情熱」を象徴し、「持てる力を一気に発揮し、挑戦や飛躍のチャンスに恵まれる年」とされています。

 

 新しい年を迎えて、協会もさらなる発展を目指したいと願いますので、どうぞ会員皆様のご賛同とご協力をよろしくお願い申し上げる次第です。

日本の慣習・十二支・年賀ポスターのことなど

2025年 12月 24日 水

令和7年(2025年)12月24日

一般社団法人日本POPサミット協会

会長 安達 昌人

 今年も残すところ僅かとなりましたが、皆様には元気にお過ごしのことと思います。

 さて、一年の後半には、ハロウィーンやクリスマスなどの洋風の行事で賑わいましたが、新年は「正月」「初詣」「七草がゆ」「節分」など和風の行事で始まり、生活風景が一変します。

 実は日本人は、行事ばかりでなく、生活や風習において何でも受け入れる融通が利く(悪く言えばアバウトな)民族だとされているようです。

 そこで今回は、日本の慣習や、関連して「干支」の「十二支」などについてミニ文化論を書いてみることにします。

 

 日本人が、「外来文化」と「伝統文化」を抵抗なく受け入れる理由は、ほぼ次のようになります。

 

1、「混り合う」ことに抵抗のない文化的土壌

・仏教→日本化して神道と共存 ・漢字→ひらがな・カタカナを生み出す ・西洋料理→和風洋食に進化(カレー、コロッケ、ナポリタンなど)

 つまり、外来文化そのままではなく、自分たちの生活に合う形に変形して取り込むのが特徴です。

 

2、宗教観があいまいで排他性も低い

・正月は神道 ・お盆は仏教 ・ハロウィーンはケルト文化由来 ・クリスマスはキリスト教由来

 すなわち、日本の宗教観は「多神教」で、矛盾なく受け入れるのは「信仰」よりも「行事・習慣」として捉えているとされます。

 来日外国人(特に一神教の欧米人)は、東京・浅草寺に来ても、本堂でお賽銭を上げて礼拝する人はいないようです。

 

3、行事は「イベント」という柔軟さ

 日本では、行事は宗教儀礼というよりも、

・季節の節目 ・家族の時間 ・商業イベント ・コミュニティの楽しみ

として受け入れられています。七草がゆも節分も「季節の区切りだから」、ハロウィーンは「楽しい催しだから」、という感覚です。

 

4、「伝統を守る」と「新しいものを取り入れる」が矛盾しない社会

 日本では、伝統行事は「古いからやめよう」、新しい行事は「新しいから警戒しよう」ではなく、

・古いものは「続ける価値がある」 ・新しいものは「面白ければ取り入れる」

という、二者択一を迫らない文化が根底にあると言われます。

 

 結論を言えば、日本人は「何でも受け入れる民族」ではなく、「上手に取り込んで共存させる民族」であり、歴史的に培われた文化的な態度・社会構造の結果だそうです。

 以上は、自分がこれまでに読んだ書籍(鶴見俊輔著「日本人の精神史」、中西進著「日本人の心」、山本七平「空気の研究」など)から得た日本人の生活慣習や文化のポイントをまとめたものです。


 来年は「午(うま)年」ですが、この「干支」の「十二支」も、古代中国(殷~周代)で成立し、日本に伝えられたた外来文化です。「子・丑・寅・・・」の文字は方角や時刻を表す記号であったものが、後に分かりやすくするために動物が当てはめられたとされます。

 十二支は「暦」の中に活かされ、自然の循環(季節・昼夜・生命の流れ)を象徴して、農業、方位学、陰陽五行思想と深く結びついていると言われます。身近には占いに使われ、自分の読む新聞の日曜版に掲載される「今週の運勢」の十二支の注釈には、つい目を通すことになります。

 ちなみに午年生まれの人は、明るく社交的で、エネルギッシュでチャレンジ精神旺盛だが、短気で先走りがち、というのが通説です。

 文化的な意味では、馬は古来、交通・軍事・神事に欠かせない動物で、神社では「神馬(しんめ)として奉納された歴史が見られます。


 年賀状(今は送る人が減少しましたが)では、ほとんどがその年の十二支の絵柄を活かしています。

 自分もかつて、十二支を活かした「謹賀新年」の大ポスターを描いたことがあります(実は年末整理をしていて、昔の資料が出てきたものです)。

 依頼主は「東販(東京出版販売株式会社)《現・株式会社トーハン⦆》の営業部。取引先の全国書店に、新年の店頭に貼り出す掲示物として、毎年配布していた助成物です。

 1970年(昭和45年)の戌年から。1981年(昭和56年)の酉年まで12年間担当しました。

 今の時代ならパソコンのグラフィックソフトで作れますが、当時はすべてポスターカラーと絵筆による作成です。ポスターの大きさは、四六半裁というB2判より大きめのサイズなので、団地の自宅の食堂テーブルの上でぐるぐる回しながら描きました。「謹賀新年」の文字は、「東販」社内の書道に優れた方によるものです。

 毎年、羽子板や凧、繭玉、纏、遊戯具など、正月らしい図柄を活かして描いていたのは、今や楽しい記憶です。その数点を、ここに紹介してみましょう。

 午年のポスターに描いた馬の遊戯具は、幼時に実際にまたがって遊んだ記憶があります。

 

 以上、日本文化の特色や風習について述べましたが、皆様も何でも取り入れて自分流に活用する自由闊達な感覚でご活躍ください。

 では、皆様、来年も幸多き良い年を迎えられますよう!  以上

9月9日は「POP(ピーオーピー)の日」です

2025年 9月 08日 月

令和7年(2025年)9月8日

一般社団法人日本POPサミット協会

会長 安達 昌人

 9月9日は「POPの日」(一般社団法人・日本POPサミット協会提唱)です。POP広告に関わる人にとって、記念すべき日と言えます。

 ちなみに、ユニークな記念日として話題の「ニャンニャンの猫の日(2月22日)」や「目の愛護デー(10月10日)」などのように、数字の語呂合わせや形状を元にしたものは多いですが、調べてみると、英文字を活かしたものは皆無で、きわめてアイデアに富んだ特別の記念日です。「9」を反転して「P」と見るのは、面白い着想です。

 では「POPの日」は誰が発案者かと言うと、日本POPサミット協会の設立者であり、顧問であった故今津次朗先生です。 かつて、「手造りPOP広告グループ」勉強会の席上で、今津先生が「9月9日はPOPの日です」と宣言し、その提唱に一同が感心したものです。

 付記すれば、アメリカの広告代理店「POPAI(POP広告協会)」と関連を持っていたコンサルタントの川上嘉則氏が「POPをポップと呼ぶのは誤りで、米国では「ポップ」はポピュラー音楽の略語、ピーオーピーと発音するのが正しい」と提案して、以降、皆もそれにならうようにしました。

(日本POPサミット協会も、POPをピーオーピーと発音します。)

 

 さて、「POPAI」が創り出したメーカー主体のPOP広告(以下、「広告」の語を略)が日本に紹介されるや、日本の家電、薬品、化粧品、酒造メーカーなどの企業が、マスコミ広告と関連して業者に作成させたPOP(シーリング、バナー、ポスター、シェルフテープ、商品展示台など)などの販促助成物を、系列店の店舗に大量に送りつけ、まるでお祭りのように飾りました(今は、すっかり姿を消しました)。

 しかし、POPという目新しい用語と効果が全国に普及し、これまでにプライスカードやポスターを手描きしてきた器用な日本の商業者は、たちまち自分たちで描いて自店に貼り出しました。マジックインキ(株式会社内田洋行)の発売も、手描きに拍車を掛けたと思います。

 さらに、スーパーマーケット、ドラッグストア、家電量販店などの大型店が出現し、メーカーの助成品とは異なる自店独自のPOPを作成して、掲示しました。

 ただ、当時のバーゲン・ディスカウントの風潮から、POPは特売のツールのように見なされ、小売店もそれに追随して特価を訴えました。今も大型青果店の値札などに、価格強調の名残りを見ることが出来ます。

 

 しかし、そのこうした商業者サイドのPOPは、時代の変遷とともに、消費者志向の高まりによって、「売る」ツールから「買う」ツールへと、購買者サイドの媒体に進展して来たことは周知のとおりです。

 すなわち、ユーザーの目線で、利用する人のベネフィットや、利用シーンを想定して商品の魅力をアピールする媒体へと変化してきました。顧客の立場として、商品の基礎的な知識は元より、ハイライフに活かせる有用で新鮮な生活情報を得ることが出来ます。

 その情報伝達の役割を果たす大切な要素は、キャッチコピーも含めた広告文案です。見る人の心に刺さる文案の作成は、今後も大きな研究課題と言えます。

 

 ところで、Microsoftの「Windows95」が発売された1995年頃から、パソコンが一般に定着し、パソコンPOPが売り場を席捲するようになりました。誰でも容易に作れて、先端を行く目新しい売り場のツールに映りました。今もパソコンPOPが、売り場に掲示されているPOPの大半を占めています。

 とは言え、2001年に、一書店が描いた読書感想文タイプのショーカードによって、一冊の本がミリオンセラーとなりました。本の売れ行きが落ち込んでいた時代に、この事件が話題となり、多くの全国の書店に手描きPOPが復活します。この成果のニュースは広く流通業界に知れ渡り、手描きPOPが売り場の販売促進の重要なツールとして再認識されることになります。第2次手描きブームと言ってよいでしょう。

 また、パソコンPOPが主流の期間が長かったことから、手描きを新しい媒体として捉えている若い層も少なくないようです。

 今や、ブラックボードなどの普及で、手で描くことも日常的になってきていて、手描きPOPの比率は予想外に高いのではないか、と推定します。

 

 片や、パソコンPOPやデジタルサイネージ(電子看板)などのデジタル系POPもいちじるしく進展しています。

 今は、スマーフォンと連携で、便利なデザインソフト(Canva、VLLOなど)もダウンロードして、チラシから動画のPOPも容易に作れます。

 POPにQRコードを表示し、クーポン獲得や詳細情報にアクセス可能。店頭での「即アクション」につながる仕組みとしても活用されています。

 また、カメラが通行人の年齢・性別を判定し、それに合わせた広告を瞬時に表示。例えば、若年層にはトレンド商品、シニア層には健康関連商品を表示するなど、AIによるパーソナライズ表示も注目されています。

 飲食店のタッチパネルも、デジタルPOPの一種ですが、最近は、手をかざすだけでメニューが切り替わるなど、非接触で操作可能のタイプも出現し、感染症対策や衛生面でも安心される技術といえます。

 この分野は、今後いっそうの進展が見られるでしょう。

 

 では、手描きPOPとパソコンPOPの、それぞれの特性をまとめてみると、

手描きPOPのメリットは、

・親しみやすく・温かい情感=人の手による文字やイラストは、感情や個性がにじみ出て、顧客の共感を呼びやすい

・自社の個性がアピールできる=スタッフのコメントや感想で、商品のこだわりが良く伝わり、信頼感につながる

・手軽に作成=紙とマーカー類があれば、すぐに作成できる。印刷コストもかからない

 デメリットとしては、

・作成枚数が限られる=多店舗展開では統一感が難しい

・見た目を整えるにはスキルが必要=表現の仕方が劣ると逆効果になることも。

 

 一方、パソコンPOPのメリットとしては、

・視認性・整ったスタイル=フォントや画像を効果良く使えば、誰にも見やすく、きれいに仕上がる

・修正・複製がスムーズ=価格変更やキャンペーン対応が容易に出来る

・数多く作成できる=多店舗で統一感を持たせることが出来る

デメリットとしては、

・やや親愛感に欠ける=機械的・画一的・単調な印象になりがち

・コスト面の高さ=枚数が多ければ、印刷費がかさむ 

 などなどが、挙げられます。

 

 ここで、POPの購買行動への影響を見てみると、従来の調査データでは、手描きPOPの方が購買のきっかけになった割合が高いという結果が出ています。⦅出典:早稲田大学 WBS研究センター「POP広告と店頭プロモーション施策の効果についての考察」他》

 手描きPOPは「販売者の気持ちが伝わる」「パソコンPOPとは異なるオリジナル性」「親近感が沸く」といった理由で、顧客の心を動かしやすい傾向があるためでしょう。

POP広告の種類 購入につながった割合
手描きPOP 56.50%
 パソコンPOP 26.20%

 では、こうしたPOPを店頭でどう活用するかは、その店舗の状況や方針にあると言えます。また、目的や売場の雰囲気によって、使い分けることになります。

 定番商品など、日常的な商品で、統一感を出す時には、効率の良いパソコンPOPで良いでしょう。

 しかし、特にお奨めの品、オリジナル品、新商品など、また自店の提案情報を訴えたいときには、手描きPOPが効果を発揮します。手描きPOPは「紙に描かれた主張」「紙に描かれた会話」として、その店自体をアピールするものになります。

 ただし、訴える内容を重視して、表現を二の次にしている例も多く見られます。

 しかしPOP広告は、メッセージ情報の重要性とともに、購買者にいかに効果良く見てもらい読んでもらうかの視覚性も同様に肝心です。顧客の関心を呼び、心に響かせ、購買に結び付けていくためには、その両輪の働きが大切であるかは言うまでもないことでしょう。

 さらにPOPは、流通業界だけに限らず、介護施設から医療施設、交通機関、地域物産の販売所、モノ造りの現場、イベント会場、公共機関に至るまで、地域社会の各所で、いわゆる「パブリックPOP」としての多様な活躍が期待されます。つまり、POPはさまざまな販売促進活動を創出し展開する、きわめて広いキャパシティーを持つ媒体です。

 

 といったわけで、「POPの日」に当たり、その大きな効果と役割を、今一度しっかりと確認していきたいと望む次第です。

地域を盛り上げる最近のイベント活動

2025年 8月 02日 土

令和7年(2025年)8月2日

一般社団法人日本POPサミット協会

会長 安達 昌人

 これまでに類を見ない猛暑の夏ですが、皆様には元気にお過ごしのことと思います。

 今回は、地域を盛り上げるイベント活動をテーマに、話題を提供することにします。

 最近、炎天の日曜日の真昼に、東京都台東区「アサヒ会通り」の歩行者天国イベント「JIMOTO~べらぼうにぶらぼう~」を見学しました。先般、ディスプレイの講義を頂いた福田ひろひで先生他、NPO法人「学びの市場」の方々に同行いたしました。

・陽気なリズムで踊るサンバパレード

イベントの主催者は、アサヒ会通りの各町会や商店による「実行委員会」で、後援は台東区。

かつて、アサヒ会通りに商店街が繁盛していた頃、夏には盆踊りや縁日などの路上イベントが盛んでしたが、時代とともに商店数が減少し、中元セールなどの行事も途絶え、加えて新型コロナの影響で、すっかり鳴りを潜めていたものです。

 


しかし、今一度、地元のメンバーで地元を盛り上げようと、新たな世代の担い手により、歩行者天国イベントを実施することになったのが「JIMOTO」の催事です。台東区の肝いりもあります。「実行委員会」では、各町会の意向をまとめるのに大変な苦労だったと思います。

 そして、今回の目玉となったのが、特に人気の高い「サンバパレード」です。さらに、和太鼓やダンス各種が、スケジュールに組み込まれました。

 区内を走るコミュニティバスの一つ「北めぐりん(浅草回り)」で、アサヒ会通りに到着。「北めぐりん」は、浅草界隈の観光名所(浅草寺、樋口一葉記念館、𠮷原大門など)を巡る、観光客にとって便利な循環小型バスです。

・街路でポーズをとる若いダンサー


・[JIMOTO]のタイトルが秀逸

・チラシ裏面にはスケジュールとマップ


 アサヒ会通りでは、午後1時に「和太鼓」の演奏が始まりました。「浅草たいこばん」というグルーブの4人のメンバーの実演で、大太鼓小太鼓を打ち鳴らし、通り全体に響き渡るほどの見事な熱演で、見物客の熱い喝采を浴びました。

 その後、延長約250メートルの長い通りのほぼ中央に設けられた本部・ステージで、開会式の宣言がなされ、各町会長や役員の方が挨拶されました。

 主賓の台東区の区長の服部征夫氏も挨拶されました。少し前に、台東区のオープンセミナーで、服部区長の「まちづくりの方策」について講演を伺う機会がありましたが、蔦屋重三郎が主人公のNHK大河ドラマ「べらぼう」の放送を契機に、その舞台となる台東区、また奥浅草周辺地域の活性化策の方針も含めて、祝辞を述べられました。

 さて、いよいよ午後2時半から、待望のサンバパレードの開始です。

 出場は、浅草サンバカーニバルの創立者のサンバチーム「仲見世バルバロス」のメンバーをはじめ、この日を期して練習を積み上げてきた人たちのグループ。

 リオのカーニバルに見る、鮮やかな赤・緑・黄色の華やかな衣装に身を包み、打楽器のリズムで陽気に踊るサンバのダンスは、日本の阿波踊りやねぶたとはまた違う、異国の躍動感に溢れています。

 今や都内各地の商店街で、サンバパレードは夏の人気の催しですが、今回は、それらに勝るとも劣らぬ大迫力の圧巻で、集まった大勢の人達を興奮させました。

・熱のこもる和太鼓の演奏

・商店会のブースでは、スイカ割り大会

・各町内会のブースでは、かき氷・イカ焼きなどの実演販売を展開

・路上配布のミニうちわ。台東区では「蔦重」効果をフルに活用

 それにしても、この「JIMOTO」の催しに、これほどの人出があるとは驚きました。

 アサヒ会通りのある清川地区は、浅草の北部に位置し、国指定史跡の平賀源内の墓や、由緒ある寺社仏閣をはじめ、江戸の面影を残す文化財・史跡の多い地域ですが、商店数もまばらで、ふだんは人影の少ない地域。

 いかにイベンとの集客力が強いかを実感しました。

 本来、イベントは「事件・出来事」という意味ですが、1970年の大阪万博で「万博はイベント(人が集まる催事・お祭り)だ」と新解釈されてメッセージされました。

 各地の商店街・SCでも、自分たちもそれにならってイベントで集客を図ろうと、阿波踊りなどの催事が全国に波及したものです。まさに高度成長の上昇期で、自分も商店街の販促・イベントの課題で各地を回りました。回るほどに事例が増えて、別の会場で応用できました。

 その後、バブル崩壊により、活況の波も、商店街も衰退したことは周知のとおりです。

 しかし今や時代は大きく変化しています。AI技術の進展により、地域の問題解決や町おこしに新たな可能性が広がっています。さらに、地域資源を活かした新事業の創出や、市民参加型の取り組みが進められている事例を、ニュースの報道でよく目にします

 地域の担い手の世代が変わったこともあるでしょう。また、公的機関の地域リーダーの育成事業が功を奏していることもあると思います。

 一方、アサヒ会通りにも見られましたが、仮設テントを張ったブースで、イカ焼きの実演販売や漬物の販売、スイカ割り大会など、昔ながらの縁日も人気を博していました。年代を問わず、日本伝来の風景に郷愁を覚え、誰もが熱いふれあい性に共感するものです。

 ともあれ、ここ数年、催しが少なかっただけに、またサンバの魅力に惹かれて、賑やかなお祭りを待ちわびた周辺地域の人達がどっと押し寄せてきたのです。

 今後は、従来の商店街に限らず、アサヒ会通りの町会・商店の集団のように、活気ある街づくりを願う地域の有志が結束し、区の支援も活用して、意欲的なイベントで、楽しく快適な「地元(JIMOTO)づくり」を構築していくことを、心から願うものです。


今津次朗先生の七福神イラストが、ウイスキーボトルになりました!

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